​東洋医学とは
​ 東洋医学は、元来は「東洋の伝統医学」という広い意味を持ち東洋の各日伝統的に伝わる「インド医学・チベット医学なども東洋医学に含まれます。
 日本で一般的にいわれる「東洋医学」は、中国の伝統医学「中医学」と、そこから独自に発展した「漢方」を合わせて
指す場合が多く、いわば東洋起源の伝統医学の総称です。
「証」が知りたい東洋医学と「病名」が知りたい西洋医学
 
 東洋医学と西洋医学は、「病気に対する認識」が異なります。
東洋医学は人の心と身体の状態全体を表す「証」を見る医療、西洋医学は局所の「病名」を診る医療といえます。
東洋医学においては、心と身体は一体としてとらえられ、全体のバランスが整っている状態が「健康」であり、バランスが崩れたときに心身の不調が発症すると考えます。
東洋医学は、身体全体を大きな有機体として捉え、一つ一つの臓器や組織は独立したものでなく、連携を取り合いながら機能しているという「心身一体」の考え方で成り立っています。
そのため、東洋医学では、人の体全体を総合的に判断し、病名よりも人の「証」の見極めを重視します。「証」が違えば、西洋医学でいう「病名」が同じ人間同士でも、異なる処方になることがあります。
 体全体の歪みを正し、病気に対する免疫力や自然治癒力を引き出し、病気を治していくのが東洋医学の特徴といえます。東洋医学は生活の質を高めて、普段通りの生活を大切にしながら治療することで、何千年も病気を治してきたという点で「臨床・経験医学」ともいわれます。
東洋医学は体質によって治療法が異なるため、症状が同じでも別の治療を行うこともあります。
一方、西洋医学では、まず患者の訴えを聞き、科学的に基づいた視点から「病気」という局所を分析し、画像診断(CTスキャン、レントゲン、超音波画像など)や検査(血液、尿など)などで識別を重ね、消去法で「病名」を見つけ出します。
そして、病気が確定すれば、治療内容もほぼ1つに決まります。
西洋医学の治療では、薬を処方することで病気を治したり、病巣を外科的に取り除いたりしますが、副作用や術後の回復に問題が残ります。
​未病とは
東洋医学では、頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、食欲不振、手足のしびれ、身体のだるさなど、何らかの継続した自覚症状があるにもかかわらず、病院で検査しても異常が見つからない状態を「未病」と呼んでいます。そして、病気の状態に近づいている1つの過程で、身体が発している警告ととらえ、自覚症状のある限り病的状態と判断し、治療を行います。
一方、西洋医学では「未病」という概念はなく、検査で異常がない状態だと、身体の不調があったとしても病気ではないと判断され、治療が行われない場合が多くあります。
​難症とは
​ 生命にかかわることはないが、西洋医学的には直すのが非常に難しい症状を、東洋医学では「難症」といいます。いくつかの臓器・器官のそれぞれを個別にみるとそれほど悪くないのに、全体としては、非常に不調和になっている状態のことです。
例えば、食欲がないという場合、胃はそれほど悪くなくても、ストレスによるものがあり、環境的な原因によるものもあります。人によっては、冷房による冷えが原因で、食欲がない場合もあります。東洋医学は、そのような難症にも対応できます。
 西洋薬は、特異的に効くということを大切にします。一方東洋医学は、むしろ見えない部分のほうに、病気の本当の根があって、それが特異性を支えているという考え方なのです。
身体全体のシステムが乱れているような難症のときは、このような考え方に基づいている方が対応しやすくなります。
​体質チェック
​ 東洋医学では、体質を5つに分類しています。最も当てはまるものをチェックしてみましょう。
​̻☑ 目の疲れ、視力低下
̻☑ めまいが起こりやすい
̻☑ 生理不順や生理痛
̻☑ 夜中によく目が覚める
̻☑ 肩こりがつらい
̻☑ 足がつりやすい
̻☑ イライラしてて怒りっぽい
̻☑ 爪が割れやすい
​̻肝タイプ
肝のトラブルで代謝機能が衰え、脂肪もためこみ太りがちです。シミが出来やすく、目が疲れて充実しやすくなります。
̻☑ のぼせやすい
̻☑ 動機、息切れがする
̻☑ 不整脈がある
̻☑ よく眠れず、夢をみる
̻☑ 不安になりやすい
̻☑ 舌のただれ、舌炎
̻☑ 汗っかきなほうだ
̻☑ 血圧が高い
̻心タイプ
心のトラブルでの代謝が悪くなり、血圧も不安定になりがちです。気力がなくなり、汗をかきやすくなります。
̻☑ 口内炎ができやすい
̻☑ 胃腸が弱い
̻☑ 食欲不振
̻☑ 胃がぽちゃぽちゃする
̻☑ 軟便、下痢気味
̻☑ 思い悩みやすい
̻☑ 気力がなく体がだるい
̻☑ むくみやすい
̻脾タイプ
脾のトラブルで胃腸に負担がかかり、口の周りが荒れやすくなります。消化吸収が悪く、いつも胃がもたれがちです。
̻☑ かぜをひきやすい
̻☑ せきやたんが出る
̻☑ のどが腫れやすい
̻☑ 鼻が詰まる
̻☑ アレルギーがある
̻☑ 皮膚が弱い
̻☑ 便秘ぎみ
̻☑ 肌がかさつく
̻肺タイプ
肺のトラブルでバリア機能が低下し、アレルギーやアトピーを起こしやすくなります。肌荒れや温疹もあらわれがちです。
̻☑ 足腰がだるい
̻☑ 腰痛がある
̻☑ 耳鳴り、めまいがする
̻☑ 精力減退ぎみ
̻☑ 頻尿ぎみ
̻☑ 抜け毛や、細毛がある
̻☑ 骨がもろい
̻☑ いくら寝ても眠い
̻腎タイプ
腎のトラブルで、冷えやすくむくみが起きやすくなります。白髪や抜け毛が気になるなど、若々しさが不足しやすくなります。
​東洋医学の治療法
​ 東洋医学の治療は、症状を解決する「漂治(ひょうち)」と基本的な体質改善をする「本治(ほんち)」に大きく分かれています。
例えば、花粉症の人に対して、鼻水を止める処方を使う場合は「漂治」であり、花粉症の原因となるアレルギー体質を治療することを「本治」といいます。
東洋医学では、体質改善を行う「本治」を優先して治療を行います。本治を行うことで身体の治癒力を正常化し、疾病治療を目指します。
また、「漂治」と「本治」を同時に考えて処方する場合を「標本同治」といい、要望によっては、標本同治することも重要です。
東洋医学には「補(ほ)」と「瀉(しゃ)」という治療概念があります。
「補(ほ)」は、虚証や陰証のような虚弱体質で身体が冷えるような人に行われる処方を指し、身体を温めたり、足りない栄養素などを補ったりする治療法です。
「瀉(しゃ)」は、実証や陽証のようなエネルギー過剰の人に行われる処方を指し、身体の過剰なものを外へ出す治療法のことです。