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​高血圧の基礎知識

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​血圧とは

 心臓は、収縮と拡張を1日に約10万回を繰り返し、全身に血液を送り出しています。血液は、心臓からまず大動脈の中に送りだされ、さらに細かく枝分かれした細動脈を通って、最後は毛細血管に流れ込みます。

 血液は心臓を中心として絶えず体内を循環しており、その循環を支えているのが「血圧」です。

 体の隅々にまで血液を送るためには、血液に圧力をかけて送り出す必要があります。この血液循環に必要な血液の圧力が「血圧」で、血管の中に流れる血液の勢いが動脈の壁に与える圧力を指します。

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​高血圧の原因

 加齢、食塩の取りすぎ、お酒の飲みすぎ、喫煙、ストレス、寒冷など血圧が高くなる様々な危険因子と体質が重なり合って、血圧が上がります。

高血圧の症状

 初期の段階では、ほとんど自覚症状がありません。

症状が進行してくると、「頭痛」「めまい」「肩こり」「耳鳴り」などの自覚症状がありますが、

休養をとるとある程度緩和されるので、軽視されがちです。

しかし、高血圧を放置することで動脈硬化が進み、様々な合併症を併発する恐れがあります。

特に脳卒中、心臓病、腎障害など重大な病気の危険因子となります。

​脳への影響

 高血圧が続くと、脳の毛細血管が動脈硬化を起こしたり、血管が膨らんで動脈癌をつくり、これが破裂して「脳内出血」が起こります。

また、脳を包む細い血管に動脈癌ができ、それが破裂すると「くも膜下出血」が起こります。

脳の動脈が動脈硬化を起こしているところに血栓が詰まると「脳梗塞」が起きます。

​心臓への影響

 高血圧が続くと、心臓はより強い力で全身に血液を送り出そうとして働くため、次第に肥大して「心肥大」となります。

また、動脈硬化によって、心臓の冠動脈の内腔が狭くなることにより、血液の供給が大幅に低下すると「狭心症」が起こります。冠動脈がさらに細くなったり、血管の内腔に血栓が詰まり、血液が供給されない部分が壊死すると「心筋梗塞」が起こります。

​腎臓への影響

 高血圧による腎臓の小動脈の動脈硬化が腎機能を低下させます。これを「腎硬化症」といい、高血圧による腎臓病のもとになります。

​糖尿病

 糖尿病が長く続くと、網膜、腎臓、神経などに障害が現れ、さまざまな合併症を引き起こします。

また、特に高血圧と糖尿病が合わさると、それぞれの症状は加速され、心筋梗塞などの血管障害が起こりやすくなります。

高血圧の治療

 高血圧の治療は、臓器障害と心血管病の危険因子の有無によってリスクが分かれます。

臓器障害は、脳、心臓、腎臓、血管、眼底の障害があり、

危険因子には、高齢(65歳以上)、喫煙、脂質異常症。慢性腎臓病、内臓脂肪型肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病などがあります。

そして、臓器障害と危険因子の有無によって、低リスク、中等リスク、高リスクの3群に分類します。

低リスクであっても、高血圧と診断されれば、すぐに治療を開始しなければいけません。

正常高値血圧(収縮期130mm~139mmHg、拡張期血圧85~89mmHg)であっても、生活習慣の修正は必要となります。

​食事療法

 ライフスタイルの中で、血圧に特に関係するのが食生活です。

減塩を心がけることと、食事からのエネルギー摂取量を制限し、肥満を防ぐようにしましょう。

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①減塩

 食塩を取りすぎると、血液中にナトリウムが増えます。すると、血液中のナトリウム濃度を一定に保とうとして、水分が組織液(細胞間液)から血管内に引き込まれることにより、血液量が増えて血圧が上がります。また、ナトリウムには血管を収縮させて、血圧を上げる作用があります。

食塩は、漬物や醤油だけでなく、スナック菓子、インスタント食品、加工食品などにも多く含まれており、注意が必要です。

減塩の工夫はこちら→

②カリウム・食物繊維を十分に摂取する

 カリウムには、ナトリウムの排泄を促す作用があり、血圧を下げる作用があります。

カリウムが含まれているのは、野菜、果物、大豆、きのこ類、海藻類です。また、これらの食品はカリウムに加えてほかのミネラルやビタミン、食物繊維の供給源となります。食物繊維には、ナトリウムやコレステロールの吸収を抑制する作用があります。特に、海藻類に含まれる水溶性の食物繊維は、ナトリウムの排泄に有効です。

 

 また、便秘をすると血圧は上昇しやすくなるため、便秘改善のためにも食物繊維の摂取をおすすめします。

 マグネシウムにはカリウムの働きを助ける作用があり、海藻類や穀物に多く含まれています。

③適正体重を維持する

 肥満の人は高血圧になりやすく、肥満の人は食事でのエネルギー摂取量を控え、肥満を解決する必要があります。また、膵臓から分泌させるインスリンの働きが悪くなりインスリン抵抗症が起こりやすくなります。

 肥満の人は、インスリンもたくさん分泌されるようになり、それが続くとインスリンの働きが悪くなります。

すると、働きが悪い分を補おうとして、膵臓から大量のインスリンが分泌されるため、血液中のインスリン量が増えてしまい、高インスリン血症を招きます。

高インスリン血症は、交感神経を刺激したり、ナトリウムを体内に溜めるなど、血圧を上げる原因になります。

 インスリン抵抗症とそれに伴う高インスリン血症は、糖尿病の原因にもなります。

糖尿病は、動脈硬化を促進する大きな危険因子です。太っていると高血圧と糖尿病を合併しやすく、それだけで重篤な病気を招きやすくなります。

多食多飲は避け、適正エネルギー量の摂取を心がけます。脂質を摂取する際は、不飽和脂肪酸を多く含む植物性脂質や新鮮な魚介類の脂質が良いでしょう。

 

 また、糖質の過剰摂取は、血中コレステロールや中性脂肪を増加させて肥満や動脈硬化を促進させるので、砂糖や菓子類は控えるのが好ましいと言えます。

④タンパク質で血管を補強する

 タンパク質は血管を補強します。魚介類や肉類(脂質の少ない部位)などの動物性タンパク質や大豆、大豆製品おの植物性タンパク質をまんべんなく摂取するようにしましょう。

⑤アルコールの過剰摂取を控える

 アルコールはストレスを解消し、HDLコレステロールを増加させますが、多量の飲酒は血圧を上昇させ、肥満を招きやすくなるだけでなく、タンパク質やビタミンの体内利用を低下させます。そのため、少量に留めておくことが望ましいです。

​運動療法

 適度に運動することは、食事での摂取エネルギーを消費し、脂肪として蓄積されない効果があります。

肥満を防ぐとともに、高血圧、動脈硬化、糖尿病の治療にもつながります。

また、適度な運動は、動脈硬化を予防する血液中のHDLコレステロールを増やしたり、逆に動脈硬化を促進させる中性脂肪を減らすことも分かっています。

動脈硬化とそれに伴う重篤な病気の予防のために、適度な運動は欠かせません。

 ウォーキング、水泳、サイクリングなど、無理なく長い間続けられる種類の運動を行うのがおすすめです。

1日60分、週3回程度を目安にして行います。

​運動療法を始める前、特に合併症がある場合には、必ず医師に相談してください。

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