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​メタボリックシンドローム・肥満の基礎知識

​メタボリックシンドロームとは

 メタボリックシンドロームとは、肥満を背景として、血液中の糖や脂肪を分解する体の代謝が正常でなくなる症候群のことをいいます。

 小腸などの臓器を包んでいる腹膜の一部の腸間膜に、脂肪(内臓脂肪)が過剰になると起きやすくなります。

中高年がかかりやすいといわれている生活習慣病であり、これらを併せ持つほど動脈硬化を促進して、脳閉鎖や心筋梗塞などを引き起こします。

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​メタボリックシンドローム診断基準

​内臓脂肪肥満かつ、「血中脂質」「血圧」「血糖」の3項目の検査値のうち、2項目以上が基準値を超えているかどうかで判断します。

腹囲(へそ周り)

男性 85cm以上

女性 90cm以上

(内臓脂肪面積 男女とも100㎠以上)

​以下項目のうち2項目以上

​脂質異常

中性脂肪 150mg/dl以上

​かつ/または

HDLコレステロール 40mg/dl未満

​     高血圧

収縮期(最大)血圧 130mmHg以上

かつ/または

拡張期(最小)血圧 85mmHg以上

​高血糖

​空腹時血糖 110mg/dl以上

​メタボリックシンドローム・肥満の治療

​食事療法

 摂取エネルギー量を制限し、消費エネルギー量を

増加させて体脂肪の消費を計り、体重を適正にすること

を目指します。

同時に、誤った食生活を改善することも目的とします。

①適正エネルギー量を摂取する

 むやみに摂取エネルギー量を制限すると、筋肉などの体のタンパク質がエネルギー源として消費されてしまうほか、貧血、骨粗しょう症、無月経といった症状を引き起こすので、適正エネルギー量を摂取することが重要です。

 

②糖質の過剰摂取を控える

 糖質は、脳の重要なエネルギー源となるので、極端に制限することのないようにしなければなりませんが、エネルギー源として利用されない分は中性脂肪に転換し貯蔵されるため、過度な摂取は控えるようにします。

③脂質は不飽和脂肪酸を多く含む植物油を中心に摂取する

 脂質は、極端に制限すると空腹感が促進されるので注意します。

④タンパク質は必要摂取量を確保する

 タンパク質は、筋肉をはじめ細胞の構成成分として重要であり、また脂質代謝にも関与するため、良質で脂質の少ない赤身肉、魚介類、豆類を中心に摂取します。

⑤ビタミン、ミネラル、食物繊維を十分に摂取する

 食事量を制限すると、不足しやすくなるため、積極的に摂取します。特に、食物繊維は、食物の胃内滞留時間を延長し、食後の血糖値上昇を抑制するので意識的に摂取しましょう。

⑥食塩、香辛料を制限する

 濃い味は食欲を増進させるので、食塩や香辛料は控えめにします。

⑦間食を制限または禁止する

 やむを得ず食べたときは、昼食や夕食の主食を控えめにします。

⑧アルコールの摂取を制限または禁止する

 アルコールのエネルギー量は1gあたり約7kcalです。食欲亢進作用もあるため、制限する場合は、飲む量を1日あたりビール中瓶1本、日本酒1合、焼酎1合、ワイン2杯のうち、いずれか1種類までを目安とします。

⑨1日3回、決まった時間に食べる

 特に、朝食を欠食しないように注意します。朝食を欠食してしまうと、次に取る食事の量が多くなる傾向にあります。一度にたくさん食べると、消化、吸収機能に負担をかけてしまいます。また、夕食の時間が深夜になる場合は、前もって栄養素の補給ができるよう間食をとり、夕食の量を少なくするといいでしょう。

⑩食物繊維を最初に食べる

 食物繊維を先に食べることで、血糖値上昇抑制作用や脂質の吸収抑制作用によって自然と主食や主菜の吸収量を減らすことができます。

⑪よく噛み、時間をかけて食べる

 血糖値が上昇し、満腹感がえられるためには数十分を要するため、会話を楽しんだり、噛む回数を意識したりするとよいでしょう。急いで食べるとインスリンの分泌が高まり、エネルギー源を脂肪組織に貯蔵されやすくなります。最近の免疫調査の結果で、早食いの人はBMIが高い傾向にあることが分かり、早食いが肥満と密接な関係にあることが明らかになっています。

⑫外食では、定食を

 なるべく定食を食べるようにすると、栄養素のバランスがとりやすくなります。焼き魚や刺身などの主催に、煮物やお浸しなどの副菜が付いているものが良いでしょう。主食の量も控えめにします。

⑬食事日記をつける

 食事の開始時間と終了時間、食事内容、食事場所や摂取状況(テレビを視聴しながらなど)などを記録します。毎食後

摂取したものすべてをすぐに記録するといいでしょう。食事量を一目で把握することができるうえに、反省材料としても活用できます。

​運動療法

 運動により消費エネルギーを増加させ、肥満を治療する

目的の療法です。1日200~300kcal消費する運動、

特にウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸

素運動は、体の代謝を是正し、内臓脂肪を燃焼させ、

脂肪をたまりにくくするので、食事療法と組み合わせると

より効果的です。また、筋力トレーニングなどの無酸素運

動も基礎代謝量の増加や維持に役立つため効果があります。

①なぜ食事制限だけではいけないのか?

 食事療法だけでも体重は減りますが、減量した後の体の中身は大きく違います。食事療法と運動療法を組み合わせて瘦せた人は、体脂肪が効率よく減りますが、食事療法だけだと体脂肪だけではなく、筋肉、そのほかの組織も減ってしまいます。これではかえって体力が低下し、基礎代謝も減少するなど、健康上好ましくない結果となります。

②体力・年齢に合った運動のペースを

 運動が良いといっても、血圧などに異常がある場合は、運動がかえって思わぬアクシデントを引き起こすことがあります。減量を目的とした運動をはじめる前には、医療機関でメディカル検査を受けておくと安心です。

③運動を続けて、基礎代謝を上げる

 基礎代謝量とは、呼吸や体温維持、血液循環など、私たちが生きていくための最低限必要なエネルギーのことです。

成人の体の臓器で基礎代謝レベルのエネルギー消費量が比較的多いのは、筋肉や肝臓、脳などです。歳とともに筋肉が衰えて減少することで、基礎代謝が下がります。

運動を続けることで、筋肉をつけて基礎代謝量を維持し、太りにくい体質を作ります。

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