更年期障害の基礎知識
更年期障害とは
更年期における様々な不快な症状は、女性ホルモンのひとつ「エストロゲン」と密接な関係があります。エストロゲンは8・9歳頃から卵巣で分泌され、その分泌量は30代半ばにピークを迎えます。これ以降、卵巣機能が低下するに従って、エストロゲン量は徐々に減っていき、40代半ばからは急激に減少します。
この突然の変化に体がついていけず起こるのが「更年期障害」と呼ばれる不調です。

更年期障害の原因
更年期障害は、閉経にともない卵巣の働きが衰え、女性ホルモンである「エストロゲン(卵胞ホルモン)」の分泌が急激に減少することで起こります。
エストロゲンの分泌量が減少すると、今までエストロゲンによって調節されていた、からだのいろいろな機能がうまく働かなくなります。また、エストロゲンが低下すると脳は卵巣に対して、もっと女性ホルモンを出すようにシグナルを送ります。しかしその際に、シグナルが周囲の脳に不要な興奮を起こしてしまうことで、自律神経の調節がうまくいかなくなります。つまり、女性ホルモンの急激な減少にからだがついていけず、神経の調節不良や心身の不調が起こりやすくなる状態になるのです。そのような状態は多かれ少なかれ生じますが、特に日常生活にまで影響を及ぼす場合を更年期障害とよび治療を必要としています。
更年期障害の症状
ほてり、のぼせ(ホットフラッシュ)
多汗
めまい
鬱
不安
イライラ
月経不順
睡眠障害
更年期障害の治療
更年期障害の治療法には、大きく分けて、3つあります。
この3つは、一部の漢方を除き、健康保険が適用されます。
ホルモン補充療法(HRT)
減少したエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充する療法です。
また、子宮を有する場合には、黄体ホルモン(プロゲステロン)を一緒に投与します。保険適用で、自己負担も少なく、更年期障害の根本的な治療法としてもっとも期待されてます。
漢方
東洋医学から生まれた漢方は、症状の改善によいといわれています。
HRTが使用できない場合や、多彩な更年期障害の訴えを持つ場合にはまず試みられる方法です。
抗うつ薬・抗不安薬などによる治療
うつや不安などの精神神経症状が主たる症状の場合や、HRTが無効な場合には抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。ほかにも、まわりの人や、専門のカウンセラーによるカウンセリングも効果的と言われています。治療を進めながら、人に話をしっかり聞いてもらうことで、からだと心のストレスを取り除いてあげましょう。
食事療法
①大豆・大豆製品を摂る
大豆・大豆製品にはイソフラボンという成分が含まれており、女性ホルモンの一つであるエストロゲンの働きを補うため、積極的に取ります。イソフラボンを多く含む食品に豆腐や納豆・味噌などがあります。
②ビタミンB群やビタミンC,マグネシウムを補給する
神経の機能を保つために必要なビタミンB群やストレスによって不足しやすいビタミンC,神経の興奮を抑えるマグネシウムなどを補給して、イライラする気持ちや精神的不安を解消します。
ビタミンB群は豚肉やレバー、魚介類、ビタミンCは果物や野菜、マグネシウムはアーモンドなどの種実類や豆類、海藻などに多く含まれています。
③カルシウム・ビタミンDを補給する
骨を組成するカルシウムと、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを、十分に取ることによって骨粗しょう症を予防します。小魚やキノコ類、海藻類を摂ります。